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続・江戸の話 百二十三


『守貞謾稿』女扮編を読み進めよう。今回は女性の髪飾の話題であるが、別書からの引用が中心である。
「婦女髪飾 嬉遊笑覧云婦人首飾昔はなし「栄花咄」に今世の女昔なかつた事どもを仕出してさりとは身をたしなみ道具数々也是に気を付て見しに頭より上ばかりを入物十六品あり云々先髪の油鬢つけ長加文字小枕平?忍元結笄指櫛前髪立?粉白粉歯黒黛也をもり頭巾留針浮世葛籠笠云々」
とある。『嬉遊笑覧』に引く『(西鶴)栄花咄』。井原西鶴の頃からみて、女性の装いで道具で昔は無かった事を見ると、頭より上に用いるものばかりであるという。十六品として髪の油・鬢つけ・長加文字(かもじ)・小枕・平?・忍元結・笄・指櫛・前髪立・?粉・白粉・歯黒・黛・をもり頭巾・留針・浮世葛・籠笠を列挙する。
「後に其碩も此文をまねて「賢女心粧」に始六十年以前のことを定規にして昔も今も同じやうに思はれ嫁の髪見るに?の中に鯨の墨遣を二三本も入らるヽは何の為にせらるヽぞ吾は此年まで髪の中に小枕の外は蒔絵の木櫛に黒き笄を指て花をやりしに嫁のあたまを見れば透通る玳瑁の櫛をさし笄の外に簪とやら云物をさヽるヽは何の用に立事ぞ時代違ひの姑の目からは弁慶が七つ道具を天窓に戴くと思るヽは無理でなし」
とある。ここで引くのは江島其磧『賢女心(化)粧』。嫁の髪形を見ると、?(たぼ)の中に鯨(の髭)製の墨遣(すみやり)をいくつも入れている。姑はこのときまで小枕の他には蒔絵の木櫛・黒い笄を指す程度であった。嫁の頭を見ると、鼈甲の櫛をさし、笄の他にも簪という物を指しているという。草子とはいえ、「何の用に立事ぞ」という所感は、異なる時代を生きた者からすれば、自然な描写であろう。
「凡首筋より上ばかりに入物廿一二品もあり仮初に出るにも身拵へに隙なきこと思はれける先髪の油びんつけ銀出し長かもじ小枕平元結忍?笄簪髱出し差櫛前櫛前髪立紅粉花の露黛きはずみおもり頭巾留針加賀笠戴き同くくけ紐荒増さへ此通りそがし此云は西鶴が云し貞享より六十年に及べり品数は多くなりしかども変りたる物は笠と簪墨やりし也」
とある。髪の油・びんつけ・銀出し・長かもじ・小枕・平元結等々を列挙する。『栄花咄』と、六十年ほど後の『賢女心粧』を比較すると、品数は増加しているが、変化があるのは、笠・簪・墨遣であるという。前段で言及のあった鼈甲櫛は、ここでは数えられていない。「変りたる物」の基準をどこに置いているのかは、詳らかではない。


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